編集者・ライターの七つ道具

大変ご無沙汰しております。
三日坊主を地で行く、飽き性のWandervogelくりもときょうこです。


昨年はコロナ禍で売上ゼロの月も出てしまい途方に暮れた瞬間もありましたが、出版業界外にも仕事が広がり、なんとか生きながらえています。


HP内の記事を書くのは本当に久しぶりなので、今回は軽めのテーマで「編集者・ライターの七つ道具」としました。

このテーマにしようと思ったきっかけは、校正者の方がフリクションで赤字を入れていたこと。



ネットで調べると、今は「校正者の七つ道具」のひとつとして、フリクションを愛用している校正者が増えているようですね。

(逆に「絶対に使わない」「おすすめしない」と明記しているブログや校正会社もあります)


フリクションが日本で発売されたのは2007年。

ボールペンなのにきれいに消せるというこれまでにない特長があり、瞬く間に普及しました。文房具売り場には必ずあるロングセラーの人気商品です。

わたしも、仕事でもプライベートでもずいぶん愛用していました。


ただし、ゲラや消えては困る文書以外で。


というのが、フリクションは摩擦熱でインクを透明にするので、高温に弱いから。

(冷凍庫に入れると色が復活するらしいですが、消したくて消したところも同時に蘇るので水泡に帰すという意味では同じと思われ)

60℃以上で透明になるので、夏場の車中、冬場の暖房器具で消える可能性は十分あります。

実際、フリクションで宛名を書いた郵便物を車中に1日置き忘れ、宛名が消えていた! という体験をされた方もいるようです。


ということをFacebookで投稿したら、雑誌編集部にいらっしゃる方が「うちの部署はみんなガンガン使っていますよ」とコメントが。やはり利便性にはかなわないそうで。雑誌の場合は、諸条件がリスク低減に働くので、問題になりにくいのかもしれません。現場によって違うということは言えそうです。


とはいえ、わたしはやはり怖くて使えないのが正直なところです。
地方住みゆえ、赤字の入ったゲラをレターパックなどでやりとりすることになるので、輸送中の環境をコントロールできない以上、事故が起きる可能性は無視できないからです。


じゃあ何を使うのかって?

簡単に消えない、油性ボールペンか赤エンピツでしょうか。


前置きが長くなりました。

くりもと版「編集者・ライターの七つ道具」、まいりましょう。



1.パソコンとスマートフォン

写真:Lenovo ThinkPadE570をIKEAのノートパソコンスタンドに乗っけて使っています。テカテカは打鍵のしすぎで表面が削れたところです。そろそろ買い替えたい……。


ご多分に漏れず、これがないと仕事にならないです。書類作成、原稿執筆、調べもの、カーナビ代わり。


昔は「パソコンとFAXと名刺があれば明日からでもライターになれる」なんて言われていましたが、半分本当だと思います。

今はFAXは必ずしも必須ではないようで、家庭用複合機を買い替える時、FAXつきモデルが激減していてびっくり。うちにも今、FAXはありません。


現在、仕事をほとんどスマホでこなす方もいらっしゃるので、そのうちパソコンは必須ではなくなるかもしれませんね。

長文の執筆も、音声入力の精度が上がればスマホでこなせちゃうかもです。


ちなみに、仕事用のソフトでいうと「Adobe Acrobat Pro」のサブスクに入りました。

前はPDFは閲覧できれば十分だったんですが、デジタル化・リモート化が進んでゲラもPDFでやりとりするようになり、そこに追記できないと仕事にならなくなってきました。

ファイル送信サービスの「ギガファイル便」も愛用しています。


モバイルは一時期、「ガラケー+Wi-Fi専用iPad mini+モバイルWi-Fi」という布陣でしたが、ガラケーがキャリア的に風前の灯火になってきたので、「格安SIM+格安スマホ」に切り替えました。

通話は激減して、LINEやメール、Messenger、SLACKでやりとりすることがほとんど。著者や編集者とリアルに会わないまま仕事を完遂することも増えました。


あと、Googleマップ! 初めて行くところでも一切不安がないのはGoogleマップのおかげです。まあ、タダで使える代償としてわたしの履歴がビッグデータに吸い上げられているわけで、その点どうよという思いはありますが……。



2.名刺

この仕事に限らず必須ですね。

名刺は、うっかり忘れて平身低頭という失態を実際にやらかしたことがあるので、手帳にも忍ばせてリスク分散しています。

名刺は本当に便利で、人間関係の入り口でフックになりやすいので、仕事以外の時も持ち歩くようにしています。


ちなみに、名刺はネット印刷「ラクスル」のフォーマットをアレンジして自分でデザインしました。明朝とUD(ユニバーサルデザイン)系ゴシックでまとめています(誰も聞いていない)。ロゴのつばめマークは、ライツフリーのイラストを使っています。


わたしのメールアドレスは、kyokoではなくkyouko。分かりにくいですよね……(kyokoは取得できなかった)。
実際に先方の送信ミスが発生してしまったので、小さい赤丸のハンコでメールアドレスの「ou」のところを強調するようにしました。ちょいと不格好ですが、当面はこれでいきます。



3.ICレコーダー

レコーダーはカセットテープレコーダーの時代から使っていて、ICレコーダーに移行。

しかし、ファイル管理がやりにくく感じ、敬遠していました。


少し前に買った最近はやりの小型タイプは、小さすぎてさらに操作しにくくてすぐに使わなくなり。


結局、iPad miniのレコーダーアプリを使って録音、再生してました。

画面で操作できるから、すごく使いやすいんですよね。再生速度も変えられるし。

ただし、レコーダーとしては大きいので使いにくい場面も。


そこで、久しぶりに本腰を入れてICレコーダーを探しました。

選んだのはSONYのICD-UX575Fです。

画面が大きめで、再生で使うイージーサーチ専用ボタンがあり、「-3」と「+10」という非常に使いやすい秒数設定だったのも決め手となりました。

届いたものを開封してみると、「ち、ちっせぇ……」。サイズ感を勝手に思い込んでいたわたしが悪いのですが、今はICレコーダーは小さいのがスタンダードなんですね。操作性を考えると、もう少し大きくて重量があるほうがいいように思うんですが、需要がないですかね。
実際に使うのはこれからで、楽しみです。


録音する時は、取材の最初に「録音させていただいてもよろしいでしょうか?」と必ず尋ねますが、「録音されている」ということがプレッシャーになる取材対象者も当然います。

なので、比較的短い取材の場合はメモだけにして、レコーダーは回さないこともありました。

が、仕事が詰まってきて(それ自体は嬉しいことではあるのですが)、取材してもすぐに書けないということが頻発し、リスク回避のためにも必ずレコーダーは回すようにしようと方針転換しました。



4.筆記具

【画コンテ】エンピツとTombow PLAY COLOR2(水性ペン)

画コンテ(という名のポンチ絵)を描く時は、どうしてもエンピツなんですよねー……。シャーペンだと、筆圧がきつくなって消しゴムかけるのに力がいるのが好きではなく。削るのは面倒ですが、エンピツがやはりいちばん落ち着きます。


さらに、水性ペンで要素を色分けして見やすくします。

Tombow PLAY COLOR2は12色セットで1000円とお手頃。1色で太・極細のツインタイプです。発色がクリアで、乾けば落ちないところも便利なのです。


最近は、Wordで画コンテ描くことも増えました。もっといい描画ソフトがあるのかもしれませんが、何でもWordで作ってしまうのに慣れてしまって、「描きにくいナァ」と思いながら使ってます。


【取材時】uni-ball signo 0.38(ゲルインクペン)とPentelサインペン(赤)

取材の時は、signo0.38一択です。このペンだと、字がきれいに書けるんですよね(わたしの場合)。滑らかでノーストレス、実に気持ちよく筆記できます。

取材用のクリップボードに1本、手帳に1本と2本を並行して運用中。インクのリフィルも箱で買ってます。


長時間にわたる取材の場合は、どこの職場にも1本は転がっているのでは? というくらいメジャーなPentelサインペン(赤)でマーキングして整理しながら話を聞くことも。

一時期よくご一緒していたデザイナーさんがいつもこのサインペンを手に打ち合わせされていて、さらさらと装丁のラフを描いておられたのが印象的でした。



【ゲラ】uni JETSTREAM3(0.7)、エンピツ、消しゴム、付箋、メモ用紙

ゲラは、疑問を書き入れるのにエンピツ、明らかな誤字脱字などを書き入れるのに赤・青の油性ボールペン。あとは、エンピツを消す消しゴム、マーキングのための付箋、疑問点や表記の揺れなどを書き出すメモ帳(A4の裏紙を半分に切ってクリップでまとめたもの)あたりでしょうか。

油性ボールペンはJETSTREAMの3色ボールペンを使っているんですが、赤のつもりが青になってしまったり、赤だけ減りが早かったりといった点が悩みなので、1本1色に戻そうかと思っています。

油性ボールペンではJETSTREAMが一番かな。プライベートも含め、かなり長く使っています。

ちなみに、ペンケースは無印良品のクリアポーチです。

透明だと探しやすくて最高です。
小銭入れも透明です。
(料理家・平野レミさんのジップロック財布インスパイア系)



5.クリアファイル&インデックス型ポストイット

取材1件につきクリアファイルをひとつあてがい整理しています。関係資料はすべてここで一元管理。

インデックス型のポストイットで、一目でわかるようにしておきます。このインデックス型ポストイットがわたし的には超便利で、これもかなり長く愛用してます。インデックスがあるとないとじゃ、探しやすさは月とすっぽん!


PCの中は、取引先名→媒体名(プロジェクト名)→場合によってはさらに細分化して階層を作って管理します。あんまり細かくしすぎると探せなくなるので、分類はほどよいところで止めるようにしています。


プロジェクト型・シリーズものの仕事の場合は、20~60ポケットのフォルダーを1冊用意して一元管理です。



6.クリップボード&A4コピー用紙

取材の時に書き写すものは、取材ノート、メモ帳などいろいろ試しましたが、最終的にクリップボードにA4コピー用紙というスタイルに落ち着きました。

フォーマットが同じであること、1枚ずつばらけていることで、ファイル管理までスムーズに行えるということもあります。


左側に取材資料を入れます。2つ折りにできるので、資料が汚れたり傷んだりするのを防げるのもナイス。


ただし、コンサート取材などで、取材メモをとる姿自体が他のお客様の迷惑になりかねない場合は、手のひらサイズのリングメモ帳を使います。会場が暗いこともあってほぼ殴り書きです。


新聞記者や週刊誌記者の方は、大学ノートを使っている方が多い印象です。



7.gogakusha(五岳舎)のトートバッグ

取材バッグはけっこう大事です。というのが、取材先が整った環境とは限らないからです。キノコ狩り取材で急峻な山肌を歩き回るとか、巨大なダンプが行きかう採石場で話を聞くという場合も(実話)。


そこで、肩に掛けられて、自立して、ガバッと開いて、少々ラフに使っても大丈夫、そこそこきちんと感はありつつ好きなテイストということで、gogakusha×Ph.D.の受注会でオーダーしました(どちらも長野県のブランドです)。とても便利で、いつもこれで取材に出かけています。


車移動なので、外出時に荷物の量をあまり気にしないで済むのは助かります。ただ、取材の時はできるだけ身軽にしておきたいので、外出には必要だけど取材には不要なものは小さなトートバッグに分けて入れることもあります。

電車や徒歩移動が主だったら、リュックタイプにしていたかもしれませんね。



……という感じで、ガジェット好き、モノ好きのわたしの趣味がバクハツしてます。

特に昔から文房具は大好きで、あれこれと試していました。

今も、ときどき文房具売り場に行って、買うかどうかは別にして、「こんなものが!」「ほほう!」「よく考えられているなぁ」とひとり悦に入っております。

技術の進歩が慣習を変えるということも大いにありますね。

10年後、編集やライターの七つ道具はどうなっているのでしょうか。

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wandervogel

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