編集者は作家になれないやつがなる!?
今でこそ、編集者はかっこいい仕事、憧れの仕事と好意的に見られることが多いようです。
ドラマの主人公や舞台に設定されることもありますね。
しかし、かつてはそうではありませんでした。
戦前~戦後あたりは、作家になりたいけれどなれない人間が編集者になっている、なんて揶揄される時代があったのです。
(これの別バージョンで「政治家になれないやつが新聞記者になる」とも言われていたとか)
これは当時、業界が小さかったので、作家が編集者も兼ねていた事情によるようです。(文藝春秋社を創設した菊池寛なんかはいい例ですね)
文筆まわりのことならなんでもこなす、「なんでも屋」に近いイメージでしょうか。
なので、現在60代以上の編集者にとっては、「編集者が憧れの仕事」というのは少々奇妙に聞こえるようです。
編集者は、総じてだいたい、いい加減です。(きっちりした人もいますが)
「この人、社会人としてはヤバいかも」「普通の仕事だったら使い物にならないかも」というような人に結構な頻度で遭遇するなぁという感じでした。(まあ、わたしも同じ穴のむじななので、人のことは言えないわけですが)
編集の仕事は普通の仕事ではない、という言い方もなんでしょう、露悪的というか逃げを打つようであまり良いとは思わないのですが、実業系の仕事ではないことは確か。
はっきり言って、虚業です。
「本というリアルなモノを作っているじゃない?」と思われるかもしれませんが、出版社や編集者が作っているのは本の中身です。
本の実体に関わる印刷や製本は、印刷会社や製本会社が作っています。
(ああ、これもまたなんだか詭弁っぽい……)
実際、もう定年退職したとある先輩は、「編集者はつまらない。思い出しか残らない」と言い残して去ったとか。(かっこいいナー)
かつてのヨーロッパでは、出版社が印刷・製本まで一貫して行っている会社が多かったようですが、今の日本でそこまでやっている出版社は皆無ではないでしょうか。(あったら知りたい)
新聞社は印刷の機械を持っているので、新聞社系の出版社は、もしかしたら社内で刷っている? いや、本業の新聞はともかく、書籍や雑誌の印刷もとなると設備投資的に割に合わないか。
とにかく、本や雑誌の中身(今風に言うとコンテンツ)を作るのが出版社の仕事です。
話が逸れました。
わたしが出版社に就職するというとき、父から「やくざみたいな会社に入った」的なことを言われました。
そのときはびっくりしたものですが、今は父の言いたかったこともわかります。
父は高卒で電力会社という超・堅実な会社に入り、文字通り叩き上げでやってきた人なので、編集者なんていうものはずいぶん怪しげに見えたことでしょう。
母方の実家が写真館だったと前回の投稿で書きましたが、どうも堅実な父よりも自営業でよりによって写真館を営んでいた母方の雰囲気に影響を受けたのかもしれません。
同じように薫陶(?)を受け、すぐ下の弟はカメラマンになりました。
実家の写真館は20年ほど前に廃業しましたが、DNAは残っている感じですね。
編集者は社会人としてはちょっとどうかという人が多いですが、面白い人も多いです。
そのへんの話はまた別の機会に。
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