本は紙を折って切ればできる

こんにちは、wandervogelのくりもときょうこです。


昨日は製本について書きました。

今日は、本文がどんなふうに本のかたちになっていくかを書きたいと思います。


子ども時代、自分で本というか冊子のようなものを作ったことのある方は、けっこういらっしゃるのではないでしょうか?

そのときは恐らく、1枚の紙の裏表に絵や文章を書いて、それを何枚か重ねてステープラー(登録商標でいうところのホチキスのことです)で綴じて冊子にするというやり方だったのではないかと思います。


実際は、本の大きさそのままの紙の裏表に印刷をして綴じて……というやり方は無駄が多すぎるので、もっと合理的な方法を採用しています。


それが、実際の本の大きさよりうんと大きい紙の裏表にページを配置し、印刷して折って綴じて本にするという方法なのです。

考え方としてはきわめて素朴で、なかなかおもしろいのです。



実際に、紙とカッターで作ってみましょう。


紙は3回折ります。

これで16ページの本ができることになります。


例えばですが、紙のオモテはこんな感じ。


ウラはこんな感じ。

番号が逆になっているページがありますが、このように配置することで、実際に本のかたちになったときは天地が揃うのでご安心を。



で、この紙を折って、背をテープでとめて綴じます。


このように、まだ袋とじの状態ですね。


カッターで切り開くと……


本になりました!


本文は、このように大きな一枚の紙の裏表にページを配置して(これを「面付け」といいます)印刷し、折って綴じて小口を裁つという作業を経て完成します。


一枚の紙を折ったものを「折」と呼びます。

ひとつの折は、8ページ、16ページ、32ページ、64ページと8の倍数で構成されます。

この折を必要な分だけ用意して束ねれば本文部分が完成する、というわけです。


だから、本はだいたい8の倍数でページ数を調整していくのです。

(4ページ1折の折をつけたり、1丁<紙1枚。裏表で2ページ分>だけ貼りこむということも技術的には可能ですが、いかんせんコストが……)


わたしが児童書を作っていたときは、四六判である程度ボリュームのある本の場合は「ニゴロ」つまり「256ページ」がもっとも採算と値付けのバランスがよいと試算が出ていました。

それで、本文用紙で作るページはちょうど256ページになるように台割を考えていました。

 *四六判……「しろくばん」と読みます。書籍のサイズのひとつ。日本ではこのサイズの

       本が多い。印刷する際の紙の大きさは788mm×1091mm(明治時代にイギリス

       から輸入されたクラウン判が元)。これを32分割すると188mm×130mmの大

       きさになる。四寸(約12cm)と六寸(約18cm)が名前の由来。出版社によっ

       て四六判の大きさは少しずつ違う 

 *台割……本の設計図。最初から最後までの構成が一目でわかるようにした表のこと


もし、表紙が取れてしまった状態の本を手にすることがあったら、本文の背表紙側を見てみてください。(できればある程度厚みのある本で)

折がいくつも束になっているのがわかると思います。


機会があればぜひ、手作りの本を作ってみてください。

子どもといっしょに作っても、面白がってもらえるかもしれませんね。




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wandervogel

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